忍者ブログ
Admin / Write / Res
何も咲かない寒い日は、下へ下へと根をのばせ
[227]  [226]  [225]  [224]  [223]  [222]  [221]  [220]  [219]  [218]  [217
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


                            

               人じゃねぇか 俺もお前(夜鷹)も… 鬼平


九平は「ひとりばたらきの」老盗賊である。何処のお頭の下にもつかず、仲間も持たない。 誰に気兼ねも要らない、捕まれば一人仕置きになるだけ、気楽ではある。が、孤独で寂しいものである、特に年をとると。

 その九平が四十年ぶりに故郷へ帰ってきた。何の目的があったのでもない。ただ、「死ぬ前に一度だけ故郷を見ておきてえ」、その想いだけである。盗賊に落ち込んだ自分に対しても、故郷は変わりなく、美しい姿のままでいてくれた。自分の胸の中にもう一度仕舞い込んでもう満足である、これでいつでも死ねる

話は江戸に戻った九平の店で展開します。芋酒・加賀屋が九平の表向きの顔なのです。名物は「芋酒」と「芋膾」。




平蔵の後をつけた翌日から、九平の姿が消えた。平蔵は自分に何か興味(おもしろみ)を覚えて後をつけてきた九平を探しているが見つからない。自分を襲った賊は誰なのか。九平はなぜ自分の跡をつけて来たのか。「あのおやじは、おれに関係(かかわりあい)のある何事かを、知っているにちがいない」 江戸市中を兇賊が暗躍し始めている。連続三件の押しこみである。「網切の甚五郎・・・」、平蔵の脳裏に彼の名前が浮かんだ。  その頃、九平は盗人仲間の吉右衛門宅に潜んでいた。一人ばたらきとはいえ、九平も盗人である。あの夜、「おやじ。御苦労」とやられたのでは驚かざるを得ない。逃げるが勝ちである。 が、どうも気になるのである、平蔵のことが。 「なるほど、平蔵さまとはああしたお人だったのか・・・盗人から見ればまさに鬼であろうがよ。あのときの夜鷹のおもんへのあつかいはといい、つけたおれを見つけていながらそ知らぬかおで御屋敷の前まで・・・・そして、おやじ御苦労、ときたもんだ。いやはやどうして、たいしたお人さ」 九平は盗人の身も忘れ、すっかり惚れこんでしまったようだ。
 

PR
Copyright ©  LAPIN JARDIN All Rights Reserved.
* material by Pearl Box   * Template by tsukika

忍者ブログ [PR]